不妊で悩む8人に1人は多嚢胞性卵巣症候群(以下PCOS)と言われています。
なかなか解決策が見つからないPCOSには体質改善が必要です。
鍼灸や食事療法による体質改善でPCOSの適切な処置を行います。

鍼灸からのアプローチ

PCOSの9割の方が月経異常

PCOSの9割以上の方が月経異常を経験しています。また、排卵障害、無月経、太りやすい、多毛、ニキビなどの症状を有します。PCOSの原因として考えられている男性ホルモン量の増加は"インスリン抵抗性"が関係しています。"インスリン抵抗性"は食事や運動習慣などの、生活に密接する部分でのアプローチが必要不可欠です。私達は”PCOS”にフォーカスし、鍼灸と食事指導の側面からカウンセリングを行います。

お薬と鍼灸療法

PCOSの治療では、対処的にお薬が処方されます。排卵障害にはクロミッド、血糖異常にはメトホルミンなどです。しかし、お薬は体質を改善しPCOSを治す物では無く、あくまでも妊娠するための対処療法です。ですから、根本的にはお薬を飲んでいても、あなたの体質は変わってません。鍼灸や食事のコントロールはあなたの体質に対してアプローチを行い 『お薬が無くても良い状態』や『お薬が効きやすくなる状態』を作ります。

瘀血(おけつ)体質による排卵障害

子宮や卵巣の血の流れが悪くなる『瘀血』の状態は、卵巣の外側の膜を硬くし排卵を妨げると考えられます。ストレスや疲れ、冷えなどが蓄積し自律神経が乱れることで、血の巡りも悪くなります。また、血の巡りの悪さは排卵障害だけでなく卵質の低下につながる恐れもあります。

痰湿(たんしつ)体質による排卵障害

『痰湿』とは、胃や腸の機能低下により水分代謝が悪くなり、余分な水が体内に溜まっている状態を言います。卵巣のまわりに『痰湿』がこびり付き、卵巣の膜が硬くなると排卵しにくくなります。これが『痰湿』による排卵障害と考えられます。

食事指導からのアプローチ

食事指導は体のタイプに合わせて

実は多嚢胞性卵巣症候群にも、お体によってタイプが分類できます。お体のタイプに合わせた食事指導がPCOS体質の改善につながると考えています。PCOSは大きく分けると「高体重タイプ」と「非高体重タイプ」に分けることができます。高体重タイプはBMI25以上となります。このタイプは内臓脂肪減少に向けての食生活が、インスリン抵抗性を改善し、妊娠率向上につながります。

非高体重タイプについて

BMIが25以下の場合についてです。太っている訳では無いのにPCOS体質になってしまうのは何故でしょう。このタイプの方に多い食生活の一例として、「糖質の取りすぎ」があります。食事をパスタやパンだけですませてしまったり、食後のデザートで甘い物を食べているなど、食事のバランスを見直す必要があります。客観的な食事バランスの指導により、1日の糖質量をコントロールしましょう。

インスリン抵抗性とは?

PCOSと"インスリン抵抗性"は必ずセットで考えます。『インスリン抵抗性が高い』=『インスリンの効きが悪い』となります。インスリン抵抗性が高くなると、卵巣でホルモン値の異常が起こり、月経異常や排卵障害に繋がります。スイーツの様な高糖質で高脂肪のものを食べるとPCOS体質は、より悪化します。さらに、普段から食べている白米やパン、果物なども、実は体質を悪くする要因に挙げられます。

運動習慣について

インスリン抵抗性が悪化する要因として、運動習慣も大切です。運動により筋肉を使うことで、食事で摂取した糖を消費できます。しかし運動が不足していると、筋肉で糖が消費されずに、血中に糖があふれてしまいます。この事がきっかけとなりインスリン抵抗性が高まると考えられます。つまり、適切な運動習慣はPCOSの改善に有効と言えます。