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鍼灸はスピリチュアル?鍼灸・筋膜・不妊の関連性

・鍼灸がスピリチュアルに感じる理由
施術をしていたり、知人と話していると鍼灸はもちろん、東洋医学ってなに?と耳にする機会があります。
説明をしようにも非常に分かりにくい部分が多い分野ですので、以外と苦労したりします。実は文明開化以前は治療と言えば鍼灸や漢方。
目に見えない「気」を整えて治療していきます。昔の方はその「気」を虫に例えて、虫の知らせ・虫の居場所が悪いなど、身近に感じられるような表現をされていました。虫以外にも比喩的な表現は多く、例えば「腹を立てている」状態をレントゲン等で確認をすると、胃が通常よりも縦に「立っている」そうで、見えない部分を的確に捉えていたそうです。
今でも、気になる・気配りなど「気」は見えないけど、第六感要素として普通に使っていたりします。私見ですが、東洋医学は目に見えないからスピリチュアルに感じてしまうのだと思っています。


・鍼灸と筋膜の関連性
ここで例を挙げてみましょう。先程の「腹を立てている」状態はどんな様子でしょうか?
きっとイライラしている状態を想像できると思います。他に、肩にグッと力が入っている「いかり肩」はどんな心理状態でしょうか?
これも同じですよね?つまり、心の状態と身体の状態は関連しやすいという事。鍼灸は「気」の集まるツボを刺激することで、心理状態や内臓、身体の不調を整えていきます。ツボの流れである「経絡」(けいらく)は、面白い事に筋膜リリースなどで耳にする「筋膜」と走行がとても似ています。
筋膜は身体の動きと密接に関連しているので、筋膜を調整すると心も調整できるとも考えられます。
実際、ヨガは筋膜を非常に意識した動きであり、高いリラックス効果がありますね。ですので、ツボを代表する東洋医学と、筋膜・筋肉を代表する西洋医学の両面で考えていくと、鍼灸が目に見えやすくなり、スピリチュアル感が減ってくるのではないかと思います。


・筋膜とは?
では、身体の状態を理解しやすい筋膜について先にお伝えします。
筋膜は筋肉や臓器、骨などを包み込んでいる膜のことです。筋膜は身体全体に網の目のように広がり、各組織を一体化させたり、支持したりする役割を持っています。
筋膜には走行ルートがいくつか存在していて、身体の前面・後面・腕などにあり、それぞれ表層と深層に分かれて役割を担っています。
主な働きは、表層は筋肉などの動きに、深層は骨や内臓の固定に働きます。
今回のテーマである鍼灸・筋膜・不妊について関連が深い走行が「深前線」と呼ばれる走行です。


・深前線について
身体の前面の深層にある筋膜の走行です。
足から体幹、頭にかけて繋がっており、身体の姿勢制御や内臓位置の安定性に重要な役割を果たします。姿勢維持では、主に体幹トレーニングで重要視される横隔膜や骨盤底筋、腸腰筋、内転筋を同時に働かせる働きがあります。内臓の安定には子宮・卵巣や胃などを支える働きがあり、治療においても重要な走行です。

  1. 足底:足底から始まり、深層でつま先から踵までを走行します。
  2. 後脛骨筋:ふくらはぎの内側を通る深層の筋肉。足首と足の安定性に作用します。
  3. 内転筋群:大腿内側を覆う筋群。骨盤を安定させ、股関節動きに関与します。
  4. 腸腰筋:骨盤から腰椎にかけて走り、股関節や体幹の安定に重要です。
  5. 横隔膜:呼吸と体幹の安定性に関与します。
  6. 胸部深層筋群:大腰筋を含み、頚椎や胸椎の前側を支持します。
  7. 頭蓋底部:頭蓋底部まで走行します。頭部と首の安定性、動きに関与します。

・太陰脾経と少陰腎経について
次に、不妊治療において超重要とされる2つの経絡についてお伝えします。
1つは太陰脾経(たいいんひけい)、もう一つは少陰腎経(しょういんじんけい)です。
太陰脾経は脾臓を主宰する経絡で、栄養の消化吸収、血液の生成、運搬などに関与します。子宮・卵巣と密接な関係があり、この経絡の力が乱れると生理不順や不妊に繋がります。ストレスに弱く、甘いものを食べ過ぎると機能が悪くなります。
少陰腎経は腎臓を主宰する経絡で、体内の「精」や「気」を蓄え、生命エネルギーを管理する役割を持つとされています。元気の源であり、妊娠する能力に最も関係する経絡です。この経絡が乱れると疲労が抜けず、不妊に繋がります。また、せっかく妊娠をしても流産率が高くなります。腎経もストレスに弱く、睡眠不足によって機能が衰えます。


・太陰脾経と少陰腎経の走行
太陰脾経は、足の親指から始まり、身体の内側を上行して胸部、脇へと至る経絡です。身体の深部を走行します。
少陰腎経は、足の裏から始まり、身体の深部内側を上行して胸部、鎖骨下に至る経絡です。脾経と同じく身体の深部を走行します。

・深前線と脾腎絡の共通点
西洋医学の筋膜と東洋医学の経絡との異なる視点ですが、共通点が見られます。
共通点は大きく2つ、

  1. 走行ルート
  2. 身体の深部にて内臓の安定性や支持

特に走行ルートを見比べると胸までは非常に類似していますし、内臓に対しての機能もほぼ同じです。
つまり、筋膜と経絡は互いに深い関連があるということになります。


・不妊のリスク
姿勢が崩れれば内臓の位置の乱れから「気」の状態が悪くなります。
特に深前線の乱れは、子宮・卵巣の機能が悪くなるだけでなく、脾・腎経の乱れに直結するので不妊リスクが高くなります。
深前線の乱れの代表例が、猫背と骨盤の後傾です。脚を組む習慣がある方は、猫背と骨盤の後傾を併発しやすいので要注意です。
筋膜や経絡を意識したストレッチやエクササイズを行うと、これらの改善に直結し、例えばヨガは全身のストレッチ、ピラティスは体幹部を意識したエクササイズになるので、妊活に取り入れられることは理にかなっており、妊活や不妊改善に取り入れられる裏付けになります。
また、不妊に直結するツボを刺激すると、子宮・卵巣の働きが良くなります。これは筋膜を介して筋肉や内臓にも変化が起きるためです。鍼灸と運動を併せて行うことで不妊改善の効果を高めてくれます。


・三陰交(さんいんこう)について⇒こちらもご参照ください
女性のツボの代表である、三陰交について筋膜・筋肉とツボについて触れていきます。

三陰交に関連する筋肉

  1. 後脛骨筋(こうけいこつきん)三陰交の直下にある深層筋です。足首を安定させる役割を持ちます。
  2. 長指屈筋(ちょうしくっきん)この筋肉も、三陰交の部位に関連しています。足の指を曲げる機能を持ち、足裏に付着します。
  3. 長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)長母趾屈筋も三陰交に関連する筋肉の一つで、足の親指を曲げる役割を持ちます。

・三陰交周辺の解剖学的特徴
三陰交は脛骨の内側にあり、筋肉や腱が集中するエリアです。
このため、刺激をすると深部の筋肉や筋膜に作用し、内臓や全身の健康状態に影響を与えるとされています。
この部位を適切に刺激することで、関連する筋肉・筋膜や、それに付随する神経が刺激され「気」の流れが改善されます。


・三陰交の東洋医学的な効果
三陰交は東洋医学における重要なツボで、脾経、腎経のほか、血液調整とメンタルに強く関わる肝経の3つの経絡が交わる場所です。
筋肉で言えば、先述の3つの筋肉が当てはまります。

  1. 婦人科系問題の改善:生理不順、月経痛、更年期障害、不妊症など、女性の生殖機能に関連する多くの症状に効果があります。刺激をする事でホルモンバランスが整い、月経周期の正常化や不快な症状の緩和が期待できます。
  2. 消化機能の調整:脾経に属する三陰交は、消化器系の機能をサポートします。食欲不振、消化不良、便秘などの消化器系の不調に対して効果があります。脾の機能を強化することで、全身のエネルギーレベルが向上し、栄養の吸収が促進されます。
  3. 冷え性やむくみの改善:血液循環や水分代謝を促進する効果があり、冷え性やむくみの改善に役立ちます。特に、下半身の冷えやむくみに対して効果的です。

・まとめ
鍼灸と筋膜の関連が分かると、鍼灸が何となく捉えやすくなるかと思います。また、姿勢と不妊の関連性も高いことについても触れました。鍼灸と姿勢改善や運動の組み合わせは「気」の働きを正し、不妊改善に大きく役立ちます。この記事が不妊に悩む方の力添えになれたらと思います。この記事を書いたのは、

鈴木大樹
東京鍼灸京橋
新橋・日本橋エリアで働く鍼灸師です。PCOSや食生活改善に強みあり。授かりに向けて施術を行いつつ、不妊に悩む方に向けて妊活コラムを書いています。

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