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インスリン抵抗性とは?

インスリン抵抗性は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方にとって、特に重要な問題です。インスリン抵抗性が高いと排卵障害に繋がり、改善を図らなければ悪化し続け自然妊娠が困難になります。インスリン抵抗性が高くなる要因は基本的に過体重ですが、最近では『痩せているのにも関わらずインスリン抵抗性が高い』という女性が多い傾向もあります。そこでインスリン抵抗性とは何か解説をしていきます。

インスリン抵抗性とは?

シンプルに言えば、インスリンの効きが悪くなった状態を指します。まず、インスリンの働きは↓

・インスリン⇒血液中の糖を各組織に運ぶ働き
(血液中の糖を各組織に運び消費することで血糖値を下げる。その際、糖だけでなく、その他栄養も運搬する)

日常生活で例えると↓

①【糖】という荷物を自宅(組織)まで運搬してくれる運送業者がインスリン
②自宅で荷物の受け取りができなかった状態が、インスリンに対する抵抗性
③荷物が受け取れないために、何度も業者が訪ねている状態をインスリン抵抗性が高い

以上の様なイメージです。

インスリンが作用する場所がある!

・インスリンが作用する主な組織は「筋肉」「肝臓」「脂肪」の3か所です。それぞれ↓

『筋肉』…筋肉で糖を“消費”
『脂肪』…余分な糖を“貯蓄”
『肝臓』…肝臓で糖を原料にエネルギーを“合成”

上記の様な作用と役割で、血液の糖を減らしていきます(血糖値を下げる)

そして、何らかの事情で「筋肉」「脂肪」「肝臓」の3か所のいずれかにトラブルが起きた場合、インスリン抵抗性が高くなっていきます。

『筋肉』でトラブルが起きた場合

これは主に【運動不足】が原因でトラブルが発生します。

「筋肉」は動くために糖をエネルギーとして”消費”する場所になります。商品は届くけれども、商品が受け取れずに家の外に山積みになっている状態です。運動不足が続くと商品は溜まり続けてしまい、インスリン抵抗性が高くなります。

『脂肪』でトラブルが起きた場合

これは主に【食べ過ぎ】が原因でトラブルが発生します。

余分な糖は、まず皮下脂肪として蓄えられます。皮下脂肪で蓄えられる容量を超えると、次は内臓脂肪として蓄えられます。内臓脂肪の容量を超えると、次は主に肝臓に脂肪が蓄えられます。(脂肪肝・異所性脂肪)
日常生活で言うと、ドアの前にバリケードを置かれて(脂肪の膜で蓋をする)商品が受け取れずインスリン抵抗性が高くなるイメージです。

内臓脂肪は炎症性ホルモンを出す

脂肪細胞はホルモン分泌も担います。特に内臓脂肪は皮下脂肪よりも断然ホルモン活性が高い性質を持っています。
※内臓脂肪の集まる腸間膜は毛細血管が豊富な為、作用しやすい
ただ、内臓脂肪が一定以上溜まると炎症性のホルモン(アディポサイトカイン)が出やすくなり、身体も炎症状態が続き続いてしまいます。これもインスリン抵抗性が高くなる要因の一つです。イメージとしてはドアの油が切れて動かず、商品を受け取れない状態です。
⇒メタボリック症候群を改善した方が良い理由の一つ

けれども、内臓脂肪は分解しやすい

内臓脂肪は皮下脂肪よりも水分量が多く分解しやすい性質があります。(即時性エネルギーとして貯蓄されている)食生活改善や適切な運動によって内臓脂肪は比較的減らしやすいことを示唆します。
⇒特に、高体重(BMI25以上)のPCOSの場合、内臓脂肪減少に向けての取り組みがインスリン抵抗性を改善し、妊娠率向上に働きやすい可能性があります。

『肝臓』でトラブルが起きた場合

これは【食べ過ぎ】【飲みすぎ】の他に、【栄養失調】【果糖の取りすぎ】などが原因でトラブルが発生します。

「肝臓」でトラブルが起きた場合のインスリン抵抗性が高くなる仕組みは、先述した「脂肪」でのトラブルとほぼ同様です。

肝臓の主な働きは、様々な成分の分解・合成になります。中性脂肪やコレステロールなど脂肪の合成も行いますが、中性脂肪やコレステロールを身体全体に運搬するためには、タンパク質(アポタンパク)と結合しなければ運搬ができません。異所性脂肪などで肝臓に脂肪が溜まると【脂肪肝】となり、インスリン抵抗性が高くなるだけでなく、全身の不調も引き起こす重大な状態へ至ります。実は、「食べ過ぎ」はもちろん、「食べなさ過ぎ」でも脂肪肝になります。以下の5つが代表的なパターンです。

脂肪肝のパターン

1、内臓脂肪レベルが高く、これ以上内臓脂肪を貯蓄できなくなった場合(食べ過ぎなど)
2、筋肉でのインスリン抵抗性が上昇した場合(運動習慣がなく、筋肉で糖を消費できない為)
3、果糖の取りすぎ(果糖は肝臓経由⇒脂肪合成ルートを通る為、ブドウ糖は肝臓経由⇒エネルギー)
4、栄養失調による(エネルギー不足によりタンパクを合成できず、脂質運搬ができない為)
5、アルコールによる(筋合成の阻害、肝臓修復による微量栄養素の消費により全身代謝の低下の為)

【それぞれの改善策】
1⇒食生活改善(高エネルギー食の改善)
2⇒運動(筋肉でのインスリン抵抗性改善を図る)
3⇒食事制限、順序の改善(果糖、特に果糖ブドウ糖液糖を控える 食後に摂取をする)
4⇒食生活改善(低タンパク食の改善)
5⇒純アルコール量は1日20gまで

妊娠について

PCOSと糖質制限、肝機能、インスリン抵抗、そして妊娠には深い関わりがあると考察します。低体重PCOS(BMI~19以下)の場合、先述の2・3・4のケースが挙げられる為、主に食事改善により妊娠率向上に働きやすい可能性があります。高体重PCOS(BMI25以上)の場合、先述の1、2、3のケースが挙げられる為、食事改善・適切な運動により妊娠向上に働きやすい可能性があります。

まとめ

インスリン抵抗性と妊娠には深い関わりがあることが分かりました。インスリン抵抗性には食事と運動が大きく関与する。つまり、妊娠には食事・運動のバランスが非常に大切だとお分かり頂けたかと思います。

そして、私達は妊娠を望む方一人ひとりに対して適切な方法をお伝えできますし、少しでも多くの方の喜びを感じて頂きたいと考えています。どうか一人で悩まず、まずはご相談下さい。

鈴木大樹
東京鍼灸京橋
新橋・日本橋エリアで働く鍼灸師です。PCOSや食生活改善に強みあり。授かりに向けて施術を行いつつ、不妊に悩む方に向けて妊活コラムを書いています。

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