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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の運動療法

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方は、糖質の反応が良く、脂肪を溜めやすい特性があるので人よりも体重増えやすい傾向があります。体重が増えると、さらにインスリン抵抗性が高くなり、負の連鎖が続いていきます。ただ、日本人は低体重の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方も多くいます。しかし、「痩せているから私は問題ない」とは言い切れず、中年肥満者と同じ代謝レベルとも。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方は食事療法と共に運動療法も大切です。そこで多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)運動療法について解説をしていきます。

多嚢胞性卵巣症候群について復習

先に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)について復習をしていきます。大まかに言うと人よりも糖質の反応が良い体質です。『糖質の反応が良い≒インスリン抵抗性が上がりやすい』となり、インスリン抵抗性が上がると、卵巣内の男性ホルモン値が高くなります。その結果、排卵障害を引き起こします。(排卵させるのに必要な女性ホルモンが働かない)

PCOSの体重は関係するの?

低体重PCOS・過体重PCOSのどちらも糖質の反応が良い訳で、体重に関わりなく糖質を摂りすぎると排卵障害に繋がります。過体重であれば、糖質の他に脂肪の影響でインスリンの働く場所に障害が発生し、インスリン抵抗性が高くなります。簡単に言えばリスクが増えるという事。糖質は運動する時のエネルギーです。よって、運動する事により改善していくことも可能という事になります。ただし、最近の研究では、低体重PCOSの女性は中年肥満者とほぼ同様のインスリン抵抗性を示す文献も出ています。つまり、体重に関わらずリスクがあるという事です。

【一般社団法人日本スポーツ栄養協会(SNDJ)公式情報サイト】⇒やせた若年女性の代謝状態は肥満者と類似 「エネルギー低回転」状態、「代謝的肥満」が関与 順天堂大学 | スポーツ栄養Web (sndj-web.jp)

運動療法の実践

運動により、糖質を消費・燃焼してあげることでインスリン抵抗性を改善することは可能です。運動によって糖質・脂肪のどちらも消費されますが、運動の強度によって割合が変化します。息が切れるくらいの強度は糖質の方が多く消費され、やや息が上がるくらいの運動で脂肪の方が多く使われます。ランニングで言えばダッシュで糖質が、ジョギングで脂肪がそれぞれ優位に消費されます。短時間でもハードに運動した方が効率は良いです。しかし、いきなりハードには動けない方も多いはず。そんな方にお勧めなのが【縄跳び】です。理由は場所を取らないこと、10分でジョギング30分と同様の効果があり、効率が良いことからお勧めです。

Woman’s Health

縄跳び⇒https://www.womenshealthmag.com/jp/diet/a36221870/jump-rope-diet-210429-hns/

縄跳び2⇒https://www.womenshealthmag.com/jp/fitness/g34912187/skipping-rope-diet-20201210/

少しハードな筋トレも大切

高体重PCOSもそうですが、低体重PCOSは特に、筋力が不足気味であることが非常に多いです。『妊娠を望む』『本気で体質を変えたい』としたら、筋量up、つまり筋トレが必須になります。運動が苦手、筋トレは嫌いというネガティブなワードは一度捨てて、取り組むときに行う自重トレーニングです。

Woman’s Health

①⇒https://www.womenshealthmag.com/jp/fitness/g35528920/krissy-cela-best-bodyweight-exercises-20210225/

②⇒https://www.womenshealthmag.com/jp/fitness/a38271785/outdoor-workout-20211121/

回数やセット数の目安

回数の上限は設けません。縄跳びは前飛びを3分程度から始めてみましょう。そこから徐々に時間を増やして10分間継続できるように挑戦してみましょう。できるようになったら、テンポを速めたり、片足交互に入れ替えてみたり、バリエーションを付けてみましょう。筋トレは①、②のどちらか選び、それぞれ最低5回ずつから始めてみましょう。はじめの1週間は1セットずつでも構いません。翌週からは5回から8回に増やしてみましょう。そして3週目から5回ずつに戻し、セット数を2セットにしてみましょう。4週目は8回ずつを2セットです。その後は体力・時間に合わせて調整し、増やしてみましょう。効果が出るまで最低3カ月掛かります。とても大変ですが、運動習慣のない方は3カ月後の身体に必ず変化が出てきます。

【縄跳び】

  • 1週目…3分目安~できる範囲
  • 2週目…5分目安~できる範囲
  • 3週目…8分目安~できる範囲
  • 4週目…10分目安~できる範囲
  • 4週目以降…テンポup10分+バリエーション等

【筋トレ】

  • 1週目…5回×1セット、1種目間30秒休憩
  • 2週目…8回×1セット、1種目間30秒休憩
  • 3週目…5回×2セット、1種目間30秒休憩
  • 4週目…8回×2セット、1種目間30秒休憩
  • 4週目以降…5回以上×2セット以上で調整、1種目間30秒以下の休憩

運動頻度の目安

縄跳び・筋トレ共に、最低週に2回以上できると良いです。理想は1日の内に筋トレ+縄跳び。特に、先に筋トレ、後に有酸素を行うと脂肪燃焼効果は高まるのでお勧めです。時間が取れない場合や、その日の体調によって、縄跳びか筋トレのできる方を優先して取り組みましょう。週に1回でも0よりは良いですが、体力は元通りになってしまう為、週2回はキープしましょう。そして、ありがちなミスが、運動したからと言って大量に食べてしまうこと。アッという間に血糖値が増えて努力が水の泡に…。

運動を継続するポイント

1人で頑張ろうとしてもなかなか続かないのが運動です。ポイントは2人以上で取り組むこと。友人、旦那さん、同僚を誘ってみましょう。お互いがコーチとなり、継続しやすくなります。お互いが変化した時は、喜びも倍ですね!また、時間帯を決めて取り組む事も能動的に動きやすく、私個人としては、休みの朝に早く起きて動くのが好きです。「休みの日くらい、ゆっくり起きたい」気持ちも分かりますが、休みが長く有意義に感じると共に、気分もスッキリするのでお勧めです。

まとめ

体質を変える為に、食事療法と併せて運動療法に取り組む必要はあります。厳しい言い方をすれば、現状のままではいけないという事です。もちろん大変です。少なからず3カ月程度掛かりますし、長い期間、食事療法と運動をやり続けることはとてもつらいこと。ただし、本気で取り組んだ結果は必ず付いてきます。そして、身体が変われば自然妊娠をしている方が多いことも事実です。「無理かも、、」と、諦める前に、1回やってみましょう3日坊主でも大丈夫。翌週からまた3日坊主を繰り返せば週に3回は運動しています!そう、あなたは確実に一歩ずつ前進していますよ。記事を読んで頂いた方を応援をしています。(スタッフ:鈴木)

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