卵質の改善は、不妊治療に取り組んでいる女性の永遠のテーマです。
理由は、卵質が妊娠の全てを握っているためで、特に体外受精にステップアップしている方であれば分かりやすく、採卵前の卵質次第で良くも悪くも妊娠率・出生率に大きく影響を与えます。
また、産後の子供の発育にも関わりがあり、活発・病弱なのかも受精した段階で決定します。これには精子の影響もありますが、卵子の関与も大きいです。
卵質に関わることは多様ですが、今回は食事と栄養について解説していきます。
卵質改善に向けて取り組むこと
卵質改善に向けて、食べると方が良い食事や摂取した方が栄養素はあります。
しかし、どんなに良い食材や栄養素を摂取しても、絶対量が少ない場合は上手くいきません。また朝食が不十分な場合も同様です。
まずは、朝食をしっかり食べること。その後に質や量の改善に取り組みましょう。
朝食を充実させる
調査では、朝食を抜いている女性が全体の14%とのことです。
当院に妊活でご来院頂いている女性では、朝食を抜いている、またはパン一枚だったり、プロテイン、ヨーグルト、フルーツだけなど、朝食が少ない場合も含めると、朝食が不足している方は80%以上いらっしゃる印象を受けます。不妊症の方は女性全体の10%と言われているため、不妊と朝食の不足は関係が深いです。
そこで、卵質改善に向けてまず取り組むべきことは、朝食を充実させることです。
参考①⇒スポーツ栄養web 毎日朝食を食べる人は生殖補助医療(ART)の治療成績が良好 朝食摂取の重要性に関する新エビデンス
理想は和定食。3大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)と妊活に良い微量栄養素(ビタミン・ミネラル)のバランスが良いです。
用意が難しければ、前日に汁物を多めに作っておくと良いでしょう。一汁一菜~二菜を目指して取り組めると卵質は改善しやすく、朝食で700kcal以上の摂取ができると良いです。
微量栄養素は、3大栄養素が充実して初めて効果を発揮するため、3大栄養素の量が不足するとサプリメントの効果は激減します。
特に、糖質制限が良いからといって、本来は砂糖等を制限すべきところを、間違ってお米を抜く・減らす方が多いのですが、妊活では誤りです。
私見ですが、過体重でない限りお茶碗にお米をしっかり盛って食べている女性の方が、圧倒的に卵質改善しやすく、妊娠率も高くなる傾向です。
朝食を充実させたら
朝食を充実させたら、食事内容と栄養素の質にこだわっていきましょう。
下記論文と併せて解説していきます。⇒併せて読みたい 卵子の質を悪くする嗜好品3選
卵質を高める食材
卵質を高める食材は以下のものが挙げられます。
- 魚類
- 豆類・野菜類
- 乳製品
魚類
魚類はタンパク質と良い脂質を多く含みます。
タンパク質量は牛肉よりも多く、卵質を改善するオメガ3脂肪酸、ビタミンDも豊富に含んでいます。
オメガ3脂肪酸やビタミンDだけでも卵質改善の効果はありますが、サプリメントで摂るよりも、魚を食べた方が妊娠・出産の経過が良い研究結果もあるため、肉よりも魚中心の食生活を目指しましょう。週2~3回食べられると良いです。
~卵質改善に良い魚~
- 鮭
- サバ
- イワシ等々
【オメガ3脂肪酸の効果について】
- 血流の改善
血液をサラサラにして血流を改善する効果があります。これにより、卵巣や子宮へ酸素や栄養素の供給が向上します。その結果、卵巣機能が向上し、質の高い卵子の発育を促進します。 - 抗炎症作用
強い抗炎症作用があり、卵巣周辺の炎症を抑えることで、卵子の発育環境を改善します。 - 抗酸化作用
酸化ストレスに対する保護効果もあります。酸化ストレスは卵子の老化を加速させる要因の一つです。オメガ3脂肪酸の抗酸化作用は、卵子の老化を抑え卵質を保つのに役立ちます。 - ホルモンバランスの調整
エストロゲンやプロゲステロンのバランスを整える効果があり、健康な卵子が育つ環境を作ります。
オメガ3脂肪酸を含む食材は魚以外に、亜麻仁油、チアシード、クルミが挙げられます。こちらも併せて摂取をしていきましょう。
豆類・野菜類
豆類・野菜類はビタミン・ミネラルを豊富に含みます。バランス良く摂取することで卵質の改善が見込めます。
ここでは特に、卵質改善と妊娠中に大切な葉酸を多く含む豆類と野菜類をご紹介します。
~卵質改善に良い豆類・野菜類~
【豆類】
- 黒豆
- インゲン豆
- ひよこ豆
- 大豆
【野菜】
- ブロッコリー
- ブロッコリースプラウト
- クレソン
- ケール
- ほうれん草
【葉酸が卵質改善に役立つ理由】
- DNA合成と修復
葉酸は細胞分裂や成長に必須な栄養素で、DNA合成と修復の働きがあります。卵子は成長の過程で多くの細胞分裂をおこないますが、葉酸を摂取することで質の高い卵子が作られます。 - ホモシステインのレベル調整
葉酸はホモシステインというアミノ酸のレベルを調整する役割があります。ホモシステインの濃度が高すぎると血管にダメージを与え、卵巣への血流が悪化します。葉酸にはホモシステイン濃度を調整する作用があり、卵巣への血流を保ち、卵子の発育環境を改善します。 - 抗酸化作用
葉酸は抗酸化作用を持つビタミンとしても知られており、細胞の老化を遅らせる効果があります。葉酸の摂取によって酸化ストレスを軽減し、卵子の質を保つ作用があります。
乳製品
乳製品はタンパク質のほか、ビタミンDやカルシウムなどを含みます。
低脂肪乳よりも、全脂肪乳を使用した乳製品の方が効果が高いとする資料があるため、全脂肪の乳製品を意識しましょう。
~卵質改善に良い乳製品~
- 牛乳
- ヨーグルト
- チーズ(チェダー、ゴーダ、モッツァレラチーズ等)
【乳製品が卵質改善に良い理由】
- カルシウムの補給
乳製品はカルシウムの豊富に含みます。カルシウムは骨を作るだけでなく、細胞の分裂や成長、ホルモンの分泌にも関わります。卵巣内での正常な細胞活動をサポートし、卵子の発育を助けます。 - ビタミンDが豊富
多くの乳製品はビタミンDが豊富です。特に、ビタミンD3は多くの代謝に関与します。生殖ホルモンの生成や調整にも役立ち、卵巣の健康をサポートします。 - タンパク質の供給
乳製品はホエイプロテインなど良質なタンパク質を含みます。タンパク質は細胞の基礎を構成するため、卵子の発育には必要不可欠です。
※乳製品を摂るとお腹がゴロゴロする方もいます。その方は無理をせず、他の食品から栄養素を摂取しましょう。
終わりに
卵質を改善するには、朝食の量とその他の質が大切です。まずは3食をしっかり食べて、3大栄養素を充実させましょう。食事で補えない部分があれば、そこで初めてサプリメントで補うとバッチリ効果が期待できます。
東京鍼灸京橋
新橋・日本橋エリアで働く鍼灸師です。PCOSや食生活改善に強みあり。授かりに向けて施術を行いつつ、不妊に悩む方に向けて妊活コラムを書いています。
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