はじめに
妊活というと、どうしても女性側に意識が向きがちですが、実は男性側の健康や生活習慣も、妊娠の可能性に大きな影響を与えます。特に近年では、食事と精子の質との関連を示す研究が次々と発表されており、「何を食べているか」が将来の妊娠に関わってくることが分かってきました。
今回は、「亀田IVFクリニック幕張」のブログで紹介された最新の研究報告をもとに、男性が妊活中に意識したい食生活のポイントを3つに分けてご紹介します。
1. 抗酸化物質やバランスの取れた食事が精子の質を高める
スペインの研究チーム(Salas‑Huetosら、2017年)が発表した論文によると、抗酸化物質を多く含む食材や、バランスの取れた食生活が、精子の数や運動率、形態などの質に好影響を与えることが分かっています。
具体的には、以下のような食品がプラスに働く可能性があります。
魚介類(特に青魚などに含まれるオメガ-3脂肪酸)
緑黄色野菜・果物(ビタミンC、E、βカロテンなど)
ナッツ類(セレン、亜鉛)
低脂肪乳製品
全粒穀物
これらに共通するのは、「体内の酸化ストレスを軽減する」栄養素を豊富に含んでいること。精子は非常にデリケートな細胞で、酸化ストレスに弱いため、抗酸化作用のある食材を積極的に摂ることが重要と考えられています。
参考 ~亀田IVFクリニック幕張Blog~ 食事が男性生殖機能と関連!?
2. 甘い飲み物の摂りすぎは精子の質を下げる
次に取り上げたいのは、砂糖入り飲料(SSB:Sugar Sweetened Beverages)の過剰摂取についてです。
アメリカの大規模調査「PRESTO研究」(Josephら、2024年)では、週に7本以上のSSBを摂取している男性では、精子の濃度・総数・運動率がいずれも有意に低下していたという結果が出ました。
妊活中の男性は、「仕事の合間のエナジードリンク」「食後の甘いコーヒー」「毎日の炭酸飲料」などを見直してみるとよいかもしれません。
また、特に注目すべきなのは、肥満傾向(BMI25以上)の男性にその影響がより強く出ていたという点です。糖質の過剰摂取は血糖値やホルモンバランスに悪影響を与え、間接的に精巣の働きを妨げる可能性があります。
参考 ~亀田IVFクリニック幕張Blog~ 妊活中の男性は、甘い飲み物の摂取に注意が必要です
3. 超加工食品は控えめに。未加工の素材を選ぼう
最後に取り上げるのは、2024年にスペインで発表された「Led‑Fertyl研究」(Valle‑Hitaら)です。ここでは、超加工食品(Ultra-Processed Foods:UPF)の摂取と精子の質との関係が調査されました。
結果は明らかで、UPFの摂取割合が多い男性ほど、精子の濃度や運動率が低い傾向があったのです。
ここでいう超加工食品とは、例えば以下のようなものです:
スナック菓子、カップ麺、冷凍ピザ
菓子パン、加工ハム、インスタント食品
香料や着色料、保存料などを多く含むパッケージ食品
こうした食品は手軽で味も濃く、ついつい食べてしまいがちですが、体への負担が大きく、妊活を考える上ではマイナスに働く可能性が高いと考えられています。
研究では、超加工食品の代わりに未加工食品(野菜、魚、玄米、卵、豆腐など)を中心とした食事に切り替えることで、精子の質が改善する可能性が示唆されました。
参考 ~亀田IVFクリニック幕張Blog~ 妊活中の男性は超加工食品の取り過ぎに注意!
妊活中の男性が今日から始められること
3つの研究の共通点をまとめると、以下のような食生活が妊活中の男性にとって望ましいと言えます。
✅ バランスの良い食事を心がける(魚・野菜・果物・全粒穀物など)
✅ 甘い飲料を減らす(特にエナジードリンク等、週7本以上の習慣は要注意)
✅ 超加工食品を控え、素材を生かした食事を増やす
特別なサプリメントや高額な健康食品に頼るよりも、まずは毎日の食生活を見直すことが、将来の妊娠率やお子さんの健康に大きく関わってきます。
また、妊活中はストレスやプレッシャーも大きくなりがちですが、体づくりの一環として夫婦で食生活を見直すことは、健康の土台を整える第一歩として非常に意味のあることです。
おわりに
男性の生殖機能と食生活の関係は、まだ研究段階ではありますが、今できる最善の準備として「何を食べ、何を避けるか」はとても重要です。パートナーとともに、無理のない範囲で食生活を整え、未来のための体づくりを少しずつ始めてみませんか?
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