精子の数が少ない「乏精子症」とは?原因・基準値・対策を解説
不妊治療や精液検査で、
「精子の数が少ない」「乏精子症と言われた」
と説明され、不安になっていませんか?
男性不妊では、精子の「数」は重要な検査項目の一つです。
しかし、精子の数が少ないからといって、
妊娠できないという意味ではありません。
精子の数には、年齢や生活習慣、体調、ホルモン、精巣の状態など、さまざまな要因が関係しています。
この記事では、
- 乏精子症とは何か
- どのくらい少ないと乏精子症なのか
- 精子の数が少なくなる原因
- 精液検査で見るべきポイント
- 生活習慣や身体づくりで意識したいこと
について、男性不妊の視点からわかりやすく解説します。
乏精子症とは?
乏精子症とは、
精液中に含まれる精子の濃度や総数が基準より少ない状態
を指します。
医学的には、
Oligozoospermia(オリゴゾオスパーミア)
と呼ばれます。
精液検査では、主に以下のような項目を確認します。
- 精液量
- 精子濃度
- 総精子数
- 運動率
- 前進運動率
- 正常形態率
その中でも「精子の数」を見る場合、
1mLあたりにどのくらい精子が存在するか
という「精子濃度」と、
射出された精液全体に何匹の精子が含まれているか
という「総精子数」を確認します。
ポイント
「精子の数が少ない」と言われた場合でも、
濃度だけが低いのか、総精子数も少ないのか
を確認することが大切です。
乏精子症=妊娠できない、ではない
「精子が少ない」と聞くと、
自然妊娠は無理なのでは?
と考えてしまう方も少なくありません。
しかし、乏精子症だからといって、
必ずしも妊娠できないわけではありません。
妊娠には、
- 精子の数
- 精子の運動性
- 精子の形態
- 卵子の状態
- 排卵のタイミング
- 卵管の状態
- 子宮環境
など、さまざまな要素が関係します。
そのため、
精子の数だけを見て妊娠の可能性を判断することはできません。
むしろ重要なのは、
「なぜ精子の数が少ないのか」
を考えることです。
精子の数が少なくなる主な原因
精子の数が少なくなる原因は一つではありません。
代表的なものとして、
以下のような要因があります。
- 精索静脈瘤
- ホルモンの異常
- 精巣機能の低下
- 染色体などの遺伝的要因
- 過去の感染症や炎症
- 精巣へのダメージ
- 薬剤の影響
- 喫煙・飲酒
- 睡眠不足
- 強いストレス
- 肥満や運動不足
- 精巣への過度な熱
このように、
精子を作る「精巣そのもの」の問題だけでなく、身体全体の状態
も関係することがあります。
① 精索静脈瘤
男性不妊の原因として知っておきたいのが、
精索静脈瘤です。
精索静脈瘤とは、精巣周囲の静脈が拡張してしまう状態です。
精巣周辺の血流や温度環境に影響し、
精子形成に悪影響を与える可能性
があります。
特に、
- 左側の陰嚢が重い
- 立っていると違和感がある
- 陰嚢に血管が浮いて見える
- 長時間立っていると症状が強くなる
などがある場合には、泌尿器科で相談してみることも大切です。
精子の数が繰り返し少ない場合は、生活習慣だけが原因とは限りません。
精索静脈瘤など、治療可能な原因が隠れているケースもあるため、
自己判断せず専門医に相談しましょう。
② ホルモンの異常
精子は精巣で作られますが、
その働きはホルモンによってコントロールされています。
特に重要なのが、
- FSH
- LH
- テストステロン
などのホルモンです。
これらのバランスが崩れると、
精子を作る機能が低下することがあります。
そのため、精液検査で異常が続く場合には、
必要に応じて血液検査で男性ホルモンや生殖関連ホルモンを確認する
ことがあります。
③ 精巣機能の低下
精子を作る場所である精巣そのものの機能が低下している場合、
精子の数が減少することがあります。
原因には、
- 先天的な要因
- 遺伝的要因
- 感染症
- 外傷
- 手術歴
- 精巣への熱やダメージ
などがあります。
精子形成には時間がかかるため、
一度の精液検査だけでは判断できないケースもあります。
精液検査は1回だけで判断しない
精液検査を受けて、
「精子が少なかった……」
と落ち込んでしまう方もいます。
しかし、精液検査の結果は、
毎回まったく同じになるわけではありません。
精液量や精子濃度、運動率などは、
- 禁欲期間
- 体調
- 睡眠
- ストレス
- 発熱
- 飲酒
- 採取条件
などによって変動することがあります。
そのため、一度基準値を下回ったからといって、
すぐに「精子を作る能力が低い」と決めつけることはできません。
大切な考え方
精液検査は「1回の結果」ではなく「繰り返した結果から傾向を見る」
ことが重要です。
まとめ
乏精子症とは、精液中の精子濃度や総数が少ない状態です。
ただし、
精子の数が少ない=妊娠できない
というわけではありません。
大切なのは、
- 精子濃度
- 総精子数
- 運動率
- 形態
を総合的に確認し、
なぜ精子の数が少ないのかを考えることです。
次のパートでは、WHOの精液検査基準値を確認しながら、
「どのくらい少ないと乏精子症なのか」
を具体的に解説していきます。
乏精子症の主な原因
乏精子症は、ひとつの原因だけで起こるとは限りません。
精子を「作る力」や「運ぶ環境」に関わるさまざまな要因が関係しています。
① 精索静脈瘤
男性不妊の原因として比較的よく知られているのが精索静脈瘤です。
精巣周囲の静脈が拡張することで、精巣周辺の温度や血流環境に影響し、
精子の数や運動率、形態などに影響することがあります。
特に、
- 精液検査の結果が安定しない
- 精子の数が少ない
- 運動率も低下している
- 左側の陰嚢に違和感がある
といった場合には、精索静脈瘤の有無を確認することがあります。
精索静脈瘤は自覚症状が少ない場合もあります。
精液検査で異常を指摘された場合は、泌尿器科などで一度相談してみることも大切です。
② ホルモンバランスの異常
精子は精巣だけで作られているわけではありません。
脳から分泌されるホルモンによって、
精巣での精子形成がコントロールされています。
そのため、
- FSH
- LH
- テストステロン
- プロラクチン
などのホルモン環境に異常があると、
精子を作る機能に影響することがあります。
精液検査だけでは原因がわからない場合、
血液検査によるホルモン評価が行われることもあります。
③ 精巣へのダメージ
精子を作る「精巣」は、熱や炎症などの影響を受けやすい器官です。
例えば、
- 高熱を伴う感染症
- 精巣炎
- 精巣の外傷
- 停留精巣の既往
- 精巣周囲の手術歴
などが精子形成に影響する場合があります。
また、発熱後に一時的に精液検査の数値が悪化することもあります。
ポイント
精子は作られてから射精されるまでに時間がかかるため、
体調を崩した直後ではなく、数週間〜数か月後の精液検査に影響が現れることがあります。
④ 喫煙・飲酒などの生活習慣
生活習慣も精子の状態に関係する可能性があります。
特に注意したいのが喫煙です。
喫煙は酸化ストレスを増加させ、
精子の数や運動性、DNAの状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。
また、過度な飲酒や睡眠不足、運動不足なども、
身体全体のコンディションを崩す要因になります。
妊活中は、
「精子だけを改善する」のではなく、精子が作られる身体全体を整える
という視点が重要です。
⑤ 精巣を温めすぎる習慣
精巣は、体温よりやや低い温度に保たれることで精子を作りやすい環境が維持されています。
そのため、長時間の高温環境は精子形成に影響する可能性があります。
例えば、
- 長時間のサウナ
- 熱い風呂に長時間入る
- 膝の上で長時間ノートパソコンを使用する
- 長時間の座りっぱなし
などは、妊活中には見直してみてもよい習慣です。
ただし、
「温めたら必ず精子が減る」という単純な話ではありません。
日常生活の中で過度な熱環境を長時間続けないことを意識する程度で十分です。
乏精子症は一度の精液検査だけで判断できる?
ここは非常に重要なポイントです。
精液検査の結果は、毎回同じとは限りません。
精子の数や運動率は、
- 禁欲期間
- 体調
- 睡眠
- 発熱
- ストレス
- 採取時の条件
などによって変動します。
そのため、一度の検査で数値が低かったからといって、
すぐに「精子を作る能力が低い」と決めつけることはできません。
精液検査は「一回の数字」ではなく「繰り返した結果」を見ることが大切です。
特に基準値を下回った場合には、
医療機関で再検査を行いながら原因を確認していきます。
乏精子症と言われたら、まず何をすればいい?
精子の数が少ないと指摘されたとき、
いきなりサプリメントや特別な治療を始める必要はありません。
まず確認したいのは、
「なぜ精子の数が少ないのか」ということです。
例えば、
- 精液検査を再検査する
- 精索静脈瘤などの有無を確認する
- 必要に応じてホルモン検査を受ける
- 生活習慣を見直す
- 必要に応じて男性不妊専門医へ相談する
という順番で考えていくと整理しやすくなります。
精子の数を改善するためにできる生活習慣
原因によっては医療的な治療が必要になる場合もありますが、
日常生活の中で見直せるポイントもあります。
① 睡眠を確保する
睡眠不足が続くと、自律神経やホルモンバランスにも影響します。
妊活中は、
睡眠時間だけでなく「毎日ある程度同じリズムで眠る」
ことも意識してみましょう。
② 適度に運動する
ウォーキングや軽いジョギングなど、
無理のない有酸素運動は血流や体重管理の面でも役立ちます。
一方で、過度なトレーニングや極端な減量は、
ホルモン環境に影響する可能性があります。
③ 禁煙する
喫煙習慣がある場合は、妊活をきっかけに禁煙を検討することをおすすめします。
精子の状態だけでなく、
身体全体の健康を守るという意味でも重要です。
④ 食事を整える
特定の食品を食べれば精子の数が増える、という単純なものではありません。
まずは、
- 十分なタンパク質
- 野菜・果物
- 魚
- 良質な脂質
などを含む、
バランスの良い食事を意識しましょう。
精子の数を改善するなら、いつから始めればいい?
精子は一度作られたら終わりではなく、常に新しく作られています。
そのため、妊活中に生活習慣を見直す場合は、
「次の精液検査だけを良くする」のではなく、数か月先の精子形成を見据える
ことが大切です。
精子が形成されて成熟し、射精されるまでにはおよそ2〜3か月程度の時間がかかるとされています。
ポイント
精子の状態を整えたい場合は、採卵や人工授精、体外受精の直前だけではなく、
できるだけ早い段階から生活習慣を見直すことが大切です。
ただし、生活習慣を改善したからといって、必ず精子の数が増えるとは限りません。
精索静脈瘤やホルモン異常など、
医学的な原因がある場合には、その原因に対する治療が優先されます。
精子の質には「酸化ストレス」も関係する
精子の状態を考えるうえで、近年注目されているのが酸化ストレスです。
身体の中では、活性酸素などによる酸化と、それを抑える抗酸化作用のバランスが保たれています。
このバランスが崩れて酸化ストレスが強くなると、
精子の運動性やDNAなどに影響する可能性があります。
酸化ストレスにつながる要因としては、
- 喫煙
- 睡眠不足
- 過度な飲酒
- 肥満
- 強いストレス
- 偏った食生活
などが挙げられます。
そのため、
精子の数だけを見るのではなく、精子が作られる環境そのものを整える
という考え方が重要です。
サプリメントを飲めば精子の数は増える?
妊活中の男性向けサプリメントには、
- 亜鉛
- ビタミンC
- ビタミンE
- コエンザイムQ10
- 葉酸
- L-カルニチン
など、さまざまな成分が含まれています。
これらの栄養素が精子の状態に関係する可能性はありますが、
サプリメントを飲めば必ず精子の数が増えるわけではありません。
まずは食事・睡眠・運動・禁煙などの基本的な生活習慣を整え、
必要に応じて医師や専門家に相談しながら取り入れることが大切です。
サプリメントだけに頼らないことがポイントです。
「何を飲むか」よりも、「なぜ精子の状態が低下しているのか」を確認することを優先しましょう。
乏精子症でも自然妊娠できる?
「精子の数が少ないと言われたら、自然妊娠は無理なのでは?」
と不安になる方も少なくありません。
しかし、
乏精子症=妊娠できない
という意味ではありません。
精子の濃度が低くても、精子が存在していて、
運動性や女性側の状態など、さまざまな条件が整っていれば妊娠する可能性はあります。
一方で、精子の数や運動率が大きく低下している場合には、
人工授精(AIH)や体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)など、
状態に応じた生殖医療を検討することもあります。
重要なのは、
「乏精子症だから妊娠できない」と考えるのではなく、精子の状態と女性側の状態を合わせて治療方針を考えること
です。
乏精子症に鍼灸はできる?
男性不妊では、精子そのものだけではなく、
精子が作られる身体環境にも目を向けることが大切です。
鍼灸では、
- 全身の血流
- 自律神経のバランス
- 睡眠や疲労
- ストレス
- 身体の冷え
などを含めて身体全体をみながら施術を行います。
ただし、鍼灸によって精子の数が必ず増えると断定できるわけではありません。
精索静脈瘤やホルモン異常などの疾患がある場合には、
まず医療機関で原因を確認し、必要な治療を受けることが重要です。
そのうえで、鍼灸を身体づくりの一つとして併用するという考え方があります。
男性不妊の身体づくりで大切なのは、「精子だけを見る」のではなく身体全体を見ること。
乏精子症で病院を受診した方がいいケース
精液検査で精子の数が少ないと指摘された場合、
一度だけの結果で過度に心配する必要はありません。
ただし、以下のような場合は男性不妊を専門とする泌尿器科などへの相談をおすすめします。
- 複数回の精液検査で低値が続いている
- 精子濃度が著しく低い
- 精子がほとんど確認できない
- 運動率も低下している
- 精索静脈瘤が疑われる
- 精巣の痛みや腫れがある
- 妊活を続けてもなかなか妊娠しない
男性不妊は、
「男性側も検査する」ことが治療への第一歩になります。
よくある質問(FAQ)
乏精子症とは何ですか?
乏精子症とは、精液中の精子濃度が基準値を下回っている状態を指します。
ただし、精子濃度だけで男性の妊娠能力すべてを判断できるわけではありません。
運動率や形態、総精子数なども含めて総合的に評価します。
乏精子症だと自然妊娠は難しいですか?
乏精子症でも自然妊娠する可能性はあります。
ただし、精子の数が少ないほど卵子に到達する精子の数も減るため、妊娠しにくくなる可能性があります。
女性側の年齢や卵巣機能なども含めて治療方針を考えることが重要です。
精子の数は増やせますか?
原因によって異なります。
生活習慣の改善によって精子の状態が改善する可能性もありますが、
精索静脈瘤やホルモン異常などが原因の場合は、医学的な治療が必要になることがあります。
精子を増やすために何を食べればいいですか?
特定の食品だけで精子の数を大きく増やせるとは限りません。
まずはタンパク質、野菜、果物、魚などを含むバランスの良い食事を心がけましょう。
不足している栄養素がある場合は、医師や管理栄養士などに相談することも有効です。
精子を増やすには禁欲した方がいいですか?
長期間の禁欲が必ずしも精子の状態を良くするとは限りません。
精液検査では医療機関から指定された禁欲期間を守ることが大切です。
妊活中の性交や射精についても、治療方法や精液所見に応じて医師に相談するとよいでしょう。
サウナは精子に悪いですか?
精巣は高温環境の影響を受けやすいため、長時間の高温環境を繰り返すことは精子形成に影響する可能性があります。
妊活中は、長時間のサウナや熱い風呂を頻繁に利用する習慣がある場合、一度見直してみるとよいでしょう。
乏精子症は治りますか?
原因によって対応が異なります。
生活習慣の改善や原因に対する治療によって精液所見が改善する場合もありますが、
すべてのケースで正常値に戻るとは限りません。
そのため、原因を確認したうえで適切な治療や妊娠方法を選択することが大切です。
男性不妊でも鍼灸を受けられますか?
受けることは可能です。
鍼灸では血流、自律神経、睡眠、疲労、ストレスなど身体全体の状態を整えることを目的に施術します。
ただし、男性不妊の原因によっては医療機関での検査・治療が必要になるため、必要に応じて西洋医学と併用することが大切です。
まとめ|乏精子症は「精子の数だけ」で判断しないことが大切
乏精子症とは、精液中の精子濃度が基準値を下回っている状態です。
しかし、
精子の数が少ない=妊娠できない
ということではありません。
重要なのは、
- 精子濃度
- 総精子数
- 運動率
- 精子形態
- 精索静脈瘤などの有無
- ホルモン環境
- 女性側の妊娠条件
などを総合的に確認することです。
また、精子の状態は生活習慣や体調によっても変化します。
睡眠・運動・食事・禁煙・ストレス管理など、できることから少しずつ身体の環境を整えていきましょう。
▼ 男性不妊についてさらに詳しく知りたい方へ
精子の数が少なくて不安な方へ
「精子の数が少ないと言われた」
「精液検査の結果が毎回気になる」
「生活習慣を見直したいけれど、何から始めればいいかわからない」
男性不妊では、精子の数だけではなく、血流・自律神経・睡眠・疲労・ストレスなど身体全体の状態を見ていくことも大切です。
当院では男性の妊活・男性不妊に対する鍼灸を行っています
- 全身の血流改善
- 自律神経の調整
- 睡眠・疲労・ストレスへのアプローチ
- 妊活中の身体づくり
西洋医学の検査・治療と併用しながら、
精子が作られる身体環境を整えるサポートを行っています。
※無理な勧誘は一切ありません









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