精索静脈瘤とは?男性不妊との関係・症状・検査・治療を解説
「精子の数が少ないと言われた」
「精子の運動率が低い」
「男性不妊の検査を受けたら、精索静脈瘤があると言われた」
男性不妊について調べていると、
「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」
という言葉を目にすることがあります。
精索静脈瘤とは、精巣から心臓へ戻る静脈の血流が逆流することで、
精索の周囲にある静脈が拡張・うっ血する状態です。
精索静脈瘤は珍しい病気ではなく、
一般男性にもみられますが、
男性不妊の検査中に見つかることも多い
ことが知られています。
また、精索静脈瘤があるすべての男性に治療が必要なわけではありません。
特に男性不妊では、
- 精液検査の結果
- 精索静脈瘤が触って確認できるか
- 精索静脈瘤の程度
- 精巣の大きさや状態
- 夫婦の不妊期間や治療状況
などを総合的に考えながら、治療の必要性を判断します。
この記事では、
- 精索静脈瘤とは何か
- なぜ男性不妊と関係するのか
- どのような症状があるのか
- どのように検査するのか
- 治療が必要になるのはどのような場合か
について、男性不妊の視点からわかりやすく解説します。
精索静脈瘤とは?
精索静脈瘤とは、
精巣周囲の静脈が拡張し、血液がうっ滞している状態
です。
精巣は、精子をつくるために体温より少し低い温度に保たれていることが重要です。
ところが精索静脈瘤があると、
静脈血の逆流やうっ滞によって陰嚢周囲の温度調節に影響し、
精巣機能に影響を与える可能性があります。
精索静脈瘤と精子形成障害の詳しいメカニズムは完全には解明されていませんが、
陰嚢内の温度上昇、低酸素状態、酸化ストレスなど
が精巣機能や精子のDNA損傷に関係すると考えられています。
そのため、
精索静脈瘤は単に「血管が太くなっている」というだけではなく、
精子をつくる環境に影響する可能性がある状態
として考えられています。
精索静脈瘤は男性不妊と関係する?
はい。
精索静脈瘤は、男性不妊との関連が知られている代表的な疾患の一つです。
日本の「男性不妊症診療ガイドライン 2024年版」では、
精索静脈瘤は男性不妊症における明確な原因として最も多い疾患
とされています。
男性不妊症における精索静脈瘤の割合は約30%と報告されています。
ただし、
精索静脈瘤がある=必ず不妊になる
という意味ではありません。
実際には、精索静脈瘤があっても精液検査が正常で、妊娠にも問題がない男性はいます。
そのため、
「精索静脈瘤があるか」だけではなく、「精索静脈瘤があり、精液所見などにも問題があるか」を確認することが重要です。
海外のガイドラインでも、
臨床的に確認できる精索静脈瘤と異常な精液所見があり、
ほかに明らかな不妊原因がない場合には、治療を検討することが推奨されています。
精索静脈瘤が精子に与える影響
精索静脈瘤では、
精巣周囲の血液循環や温度環境が変化することで、
精子をつくる働きに影響する可能性があります。
特に、
- 精子濃度
- 総精子数
- 精子運動率
- 精子のDNA損傷
などとの関連が研究されています。
一方で、
すべての精子所見が同じように悪化するわけではありません。
また、精索静脈瘤の程度や年齢などによっても影響は異なります。
そのため、
「精索静脈瘤があるから精子の運動率が低い」
と単純に判断するのではなく、
精液検査などの結果と合わせて評価することが大切です。
なぜ精索静脈瘤は左側に多い?
精索静脈瘤は、
左側に多い
ことが特徴の一つです。
これは左右の精巣静脈の走行や血管が合流する位置など、
解剖学的な違いが関係しています。
日本の医学書でも、
触知可能な精索静脈瘤のうち左側が85~90%程度
とされています。
そのため、
「左の陰嚢だけ違和感がある」
「左側だけ血管が浮いている」
といった場合には、
精索静脈瘤がないか確認することがあります。
ただし、右側や両側に発生することもあります。
精索静脈瘤の症状
精索静脈瘤は、
自覚症状がないケースも少なくありません。
特に成人男性では、
男性不妊の検査をきっかけに初めて見つかることがあります。
一方で、症状がある場合には、
- 陰嚢の重だるさ
- 陰嚢の違和感
- 鈍い痛み
- 長時間立っていると症状が強くなる
- 運動後に違和感が出る
などがみられることがあります。
また、精索静脈瘤が進行すると、
「陰嚢の中にミミズのような血管がある」
と感じることがあります。
ただし、自己判断だけで精索静脈瘤と判断することはできません。
気になる症状がある場合は、
泌尿器科などで診察を受けることが大切です。
精索静脈瘤にはグレードがある
精索静脈瘤は、
触診などによって程度を分類することがあります。
Grade 1
いきんだとき(バルサルバ法)に触れる
程度の精索静脈瘤です。
Grade 2
安静時にも触れる
精索静脈瘤です。
Grade 3
安静時にも目で確認でき、触れることができる
精索静脈瘤です。
このほか、
触診では確認できないものの、
超音波検査などで確認されるsubclinical(潜在性)精索静脈瘤
もあります。
男性不妊の治療を考える際には、
この「触って確認できる精索静脈瘤かどうか」
が重要なポイントの一つになります。
精索静脈瘤はどうやって検査する?
精索静脈瘤の診断では、まず泌尿器科などでの問診・診察・触診が基本になります。
診察では、
- 陰嚢の左右差
- 血管の拡張
- 精索静脈瘤の有無
- 精巣の大きさ
- 痛みや違和感
などを確認します。
必要に応じて、
陰嚢部の超音波検査(カラードプラ)
が行われることもあります。
超音波検査では、静脈の拡張や血液の逆流などを確認できます。
また、男性不妊が疑われる場合には、
精索静脈瘤だけを見るのではなく、
精液検査と合わせて評価すること
が重要です。
精子の数・運動率・奇形率については、
精子の数・運動率・奇形率とは?精液検査の見方を解説
も参考にしてください。
精索静脈瘤が見つかったら、必ず治療する?
いいえ。
精索静脈瘤が見つかったからといって、すべての人に治療が必要なわけではありません。
特に、
- 精液検査が正常
- 不妊の問題がない
- 超音波検査だけで確認されるsubclinical精索静脈瘤
などの場合は、すぐに手術を行うとは限りません。
男性不妊で治療を検討する場合には、
- 精索静脈瘤が触診で確認できるか
- 精液所見に異常があるか
- 不妊期間
- 女性側の妊孕性
- 精巣の状態
- 今後の不妊治療方針
などを総合的に判断します。
つまり、
「精索静脈瘤があるか」だけではなく、「治療することでメリットが期待できる状態なのか」
を考えることが大切です。
精索静脈瘤の治療方法
男性不妊に関連する精索静脈瘤では、
手術によって逆流している静脈を処理する治療
が行われることがあります。
代表的な方法には、
- 顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術
- 腹腔鏡下手術
- 高位結紮術
- 血管内治療(塞栓術)
などがあります。
現在は、
顕微鏡を使用して精索内の血管を確認しながら行う方法
が選択されることも多くあります。
術式にはそれぞれ特徴があるため、
年齢や精索静脈瘤の状態、精液所見、これまでの治療歴などを踏まえて、
泌尿器科の専門医と相談することが重要です。
精索静脈瘤の手術で精子は改善する?
精索静脈瘤の手術によって、
精液所見が改善する可能性
があります。
特に、
- 精子濃度
- 総精子数
- 精子運動率
などの改善が報告されています。
ただし、
手術をすれば必ず精子の状態が正常になるわけではありません。
また、精液所見が改善しても、
必ず自然妊娠できるとは限りません。
不妊の原因は男性側だけでなく、
女性側の年齢や卵巣機能、卵管・子宮の状態など、
さまざまな要素が関係するためです。
精索静脈瘤の治療は「精子を改善させる可能性がある治療」であり、「妊娠を保証する治療」ではありません。
手術後、精子が改善するまでどのくらいかかる?
精子は一度つくられたら終わりではなく、
精子形成には一定の期間が必要
です。
そのため、精索静脈瘤の手術を受けた場合でも、
翌日に精子の状態が大きく変わるわけではありません。
一般的には、
数か月単位で精液所見の変化を確認
していきます。
精液検査は1回だけでは変動も大きいため、
術後の経過を見ながら複数回検査することがあります。
また、
精子の状態が改善するかどうかには個人差があります。
精索静脈瘤がある男性が見直したい生活習慣
精索静脈瘤そのものを生活習慣だけで治すことはできません。
しかし、
精子をつくる環境をできるだけ良好に保つ
という視点では、生活習慣を見直すことも大切です。
① 睡眠を確保する
慢性的な睡眠不足は、
ホルモン環境や自律神経、生活リズムにも影響します。
妊活中は、
まず睡眠時間と睡眠の質を確保することを意識しましょう。
② 喫煙を見直す
喫煙は精子の数や運動性、精子DNAなどとの関連が報告されています。
妊活中の男性では、
禁煙を検討することが重要です。
③ 過度な飲酒を控える
過度の飲酒は、
男性ホルモンや精子形成に影響する可能性があります。
飲酒量が多い場合には、
量や頻度を見直してみましょう。
④ 長時間の高温環境を避ける
精巣は体温より低い環境で正常に働くことが重要です。
そのため、
長時間のサウナや高温環境への過度な曝露など、
精巣周囲の温度を上げ続ける習慣
は控えることが望ましいと考えられます。
⑤ 適度に身体を動かす
運動不足にならないよう、
ウォーキングなど無理のない運動を習慣にすることも大切です。
一方で、
過度なトレーニングや疲労の蓄積は避け、
自分の身体に合った運動量を意識しましょう。
精索静脈瘤と鍼灸|妊活中の男性ができる身体づくり
ここまで読んで、
「精索静脈瘤があるなら、鍼灸では何もできないの?」
と思われる方もいるかもしれません。
まず大切なのは、
鍼灸で精索静脈瘤そのものを治療できるわけではない
ということです。
精索静脈瘤が男性不妊の原因として疑われる場合には、
泌尿器科で適切な診断・治療を受けることが基本になります。
そのうえで鍼灸では、
- 睡眠
- ストレス
- 自律神経
- 全身の血流
- 身体の緊張
など、
妊活中の身体全体のコンディションを整えるサポート
を行うことができます。
特に男性不妊では、
精液検査の数字だけを追い続けてしまう方も少なくありません。
しかし、
- 仕事が忙しい
- 睡眠時間が短い
- 慢性的に疲れている
- ストレスが強い
- 運動不足
といった生活が続いている場合には、
まず身体全体の状態を見直すことも大切です。
鍼灸は、
精索静脈瘤の治療の代わりではなく、男性不妊治療と並行した身体づくりのサポート
として考えるとよいでしょう。
精索静脈瘤がある場合、妊活はどう進める?
精索静脈瘤が見つかった場合でも、
すぐに「妊娠できない」と考える必要はありません。
まずは、
- 泌尿器科で精索静脈瘤の状態を確認する
- 精液検査を行う
- 必要に応じて男性ホルモンや精巣の状態を評価する
- 夫婦双方の不妊原因を確認する
- 自然妊娠・人工授精・体外受精など今後の治療方針を検討する
というように、
男性側だけ、女性側だけで考えず、夫婦単位で治療方針を決める
ことが大切です。
特に女性側の年齢や卵巣予備能によっては、
精索静脈瘤の治療を待つ期間と、
不妊治療を進めるタイミングのバランスを考える必要があります。
そのため、
「精索静脈瘤があるから手術をしてから妊活」
と一律に決めるのではなく、
夫婦それぞれの状態を踏まえて専門医と相談する
ことが重要です。
まとめ|精索静脈瘤は男性不妊で確認しておきたいポイント
精索静脈瘤は、
精巣周囲の静脈が拡張・うっ血する状態で、
男性不妊との関連が知られています。
特に、
- 精液検査で異常がある
- 触診で精索静脈瘤が確認できる
- ほかに明らかな不妊原因がない
場合には、
治療によって精液所見が改善する可能性があります。
一方で、
精索静脈瘤があるすべての男性に手術が必要なわけではありません。
重要なのは、
- 精索静脈瘤の程度
- 精液検査
- 精巣の状態
- 夫婦双方の不妊原因
- 今後の治療方針
を総合的に判断することです。
また、精索静脈瘤そのものは鍼灸で治療するものではありませんが、
睡眠・ストレス・自律神経・身体のコンディションなどを整えることは、
妊活中の男性の身体づくりを考えるうえで大切な視点です。
「精子の数が少ない」
「運動率が低い」
「精索静脈瘤があると言われた」
という方は、
まずは泌尿器科などで状態を確認し、
必要な検査や治療について相談してみましょう。
よくある質問(FAQ)
精索静脈瘤があると必ず不妊になりますか?
いいえ。
精索静脈瘤があっても妊娠に問題がない男性はいます。
精液検査の結果や精索静脈瘤の程度、夫婦双方の状態などを総合的に評価することが重要です。
精索静脈瘤があると精子の運動率は低下しますか?
精索静脈瘤は、精子濃度や運動率などの精液所見との関連が報告されています。
ただし、精索静脈瘤があるすべての男性で精液所見が悪化するわけではありません。
精索静脈瘤は自然に治りますか?
一度形成された精索静脈瘤が自然に消失することは一般的ではありません。
症状や精液所見などに問題がある場合には、泌尿器科で治療の必要性を相談します。
精索静脈瘤は手術した方がいいですか?
すべての精索静脈瘤で手術が必要になるわけではありません。
男性不妊の場合は、触診で確認できる精索静脈瘤があり、精液所見に異常があるケースなどで手術を検討することがあります。
年齢や女性側の状態、これまでの治療歴なども含めて主治医と相談することが大切です。
精索静脈瘤の手術で精子は必ず改善しますか?
必ず改善するわけではありません。
一方で、精索静脈瘤の手術後に精子濃度や運動率などの精液所見が改善する可能性は報告されています。
精索静脈瘤がある場合、体外受精をした方がいいですか?
精索静脈瘤があるからといって、必ず体外受精が必要になるわけではありません。
精液所見、女性側の年齢・卵巣機能、これまでの治療歴などによって適切な治療方法は異なります。
必要に応じて泌尿器科と不妊治療施設の両方で相談するとよいでしょう。
精索静脈瘤に鍼灸は効果がありますか?
鍼灸によって精索静脈瘤そのものを治療することはできません。
一方で、睡眠・ストレス・自律神経・身体の緊張など、妊活中の男性のコンディションを整えるサポートとして鍼灸を取り入れることはできます。
精索静脈瘤が疑われる場合は、まず泌尿器科で適切な診断を受けることが大切です。
男性不妊についてさらに詳しく知りたい方へ
▼ 男性不妊についてさらに詳しく知りたい方へ
精索静脈瘤と診断され、妊活中の身体づくりを考えている方へ
精索静脈瘤は、男性不妊の原因の一つとして知られています。
大切なのは、精索静脈瘤そのものだけを見るのではなく、
精液所見・生活習慣・睡眠・ストレス・身体全体の状態を含めて考えることです。
当院では、泌尿器科などでの診察・治療と併用しながら、妊活中の身体づくりをサポートしています。
男性不妊に対する妊活鍼灸
- 全身の血流・循環を整える施術
- 自律神経の調整
- 睡眠や疲労状態のケア
- 妊活中のストレスケア
- 生活習慣を含めた身体づくりのサポート
精索静脈瘤については、必要に応じて泌尿器科などの専門医に相談することが大切です。
そのうえで、
「自分の身体でできることも見直したい」
という方は、妊活鍼灸という選択肢もご検討ください。
※無理な勧誘は一切ありません









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