男性不妊とは?原因・検査・治療についてわかりやすく解説
不妊治療というと、女性側の身体に注目されることが多いかもしれません。
しかし、妊娠しにくい原因は男性側にも存在します。
実際に、男性側の要因が関係するケースは少なくありません。
そのため、妊活では女性だけでなく男性も一緒に検査・治療を考えることが大切です。
この記事では、男性不妊について
- 男性不妊とは何か
- 主な原因
- 精液検査で何がわかるのか
- どのような検査や治療があるのか
- 生活習慣で意識したいこと
について、できるだけわかりやすく解説します。
男性不妊とは?
男性不妊とは、男性側の要因によって妊娠が成立しにくくなっている状態を指します。
代表的なのが、精子に関する問題です。
- 精子の数が少ない
- 精子の運動率が低い
- 精子の形態に異常がある
- 精子を作る機能に問題がある
といった状態があります。
一方で、男性不妊は「精子だけ」の問題とは限りません。
- ホルモンの異常
- 精巣や精索の問題
- 射精機能の問題
- 性機能の問題
- 生活習慣や環境因子
など、さまざまな要因が関係する可能性があります。
男性不妊で大切なこと
「精子があるか」だけではなく、
数・運動性・形態・作る力・届ける力などを総合的に考えることが重要です。
不妊の原因は男性側にもあります
妊娠を考えるとき、どうしても女性側の年齢や卵巣機能、子宮環境などに目が向きやすくなります。
しかし、妊娠には男性の精子も必要です。
そのため、妊活を始めた段階から男性側も検査を受けておくことが重要です。
特に、
- 妊活を始めてなかなか妊娠しない
- 人工授精や体外受精を検討している
- 過去の精液検査で異常を指摘された
- 性機能や射精について気になることがある
- 精巣や陰嚢に違和感がある
といった場合には、男性側の状態も確認してみるとよいでしょう。
男性不妊の主な原因
男性不妊の原因は一つではありません。
大きく分けると、精子を作る過程の問題・精子を運ぶ過程の問題・性機能の問題などがあります。
① 精子の数が少ない
精液中に含まれる精子の数が少ない状態です。
精子の数が少ないと、卵子まで到達できる精子の数も少なくなるため、自然妊娠しにくくなる可能性があります。
精子濃度や総精子数は精液検査によって確認します。
② 精子の運動率が低い
精子が十分に動けない状態です。
精子は自ら動いて卵子へ向かう必要があるため、運動性も妊娠に関係する重要な要素です。
運動率が低い場合でも、程度によって対応は異なります。
③ 精子の形態に問題がある
精子には頭部・中片部・尾部などの構造があります。
形態を調べることで、正常な形態を持つ精子がどの程度存在するのかを確認します。
ただし、精子の形態だけで妊娠の可能性を判断することはできません。
④ 精子を作る機能の問題
精巣では、日々新しい精子が作られています。
しかし、
- ホルモンの異常
- 精巣の機能低下
- 遺伝的な要因
- 過去の病気や手術
などによって、精子を作る機能が低下することがあります。
⑤ 精索静脈瘤
男性不妊の原因として精索静脈瘤が見つかることもあります。
精索静脈瘤とは、精巣周囲の静脈が拡張した状態です。
精巣周囲の温度や血流環境などに影響し、精子形成に関係する可能性があります。
精索静脈瘤については、今後別の記事で詳しく解説していきます。
⑥ ホルモンの異常
精子を作るためには、脳から精巣へとつながるホルモンの働きが重要です。
視床下部・下垂体・精巣の働きに問題があると、精子形成に影響することがあります。
必要に応じて血液検査でホルモンの状態を確認します。
⑦ 射精・性機能の問題
精子を作る機能に問題がなくても、
- 勃起がうまくできない
- 性交が難しい
- 射精がうまくできない
- 逆行性射精などがある
といった問題によって妊娠が難しくなることがあります。
この場合も、原因に応じた治療や生殖医療によるサポートが検討されます。
男性不妊の基本検査「精液検査」
男性不妊を調べるうえで、まず行われる代表的な検査が精液検査です。
精液を採取し、顕微鏡などを用いて精子の状態を確認します。
精液検査で確認する主な項目
- 精液量
- 精子濃度
- 総精子数
- 精子運動率
- 精子の形態
これらを確認することで、男性側の生殖機能について基本的な情報を得ることができます。
ただし、精液検査の結果は採取した日の体調や禁欲期間などによって変動することがあります。
そのため、1回の検査結果だけで男性不妊を決めつけるのではなく、必要に応じて再検査や追加検査を行います。
精液検査で異常があったら妊娠できない?
精液検査で基準値を下回る項目があったとしても、
「妊娠できない」という意味ではありません。
精子の状態には幅があり、検査結果だけで自然妊娠の可能性を完全に判断することはできません。
また、精液検査の結果は一時的に変化することもあります。
そのため、
- どの項目が低かったのか
- どの程度の変化なのか
- 再検査でも同じ結果なのか
- 女性側の状態はどうなのか
- 妊活期間はどのくらいなのか
などを含めて総合的に考える必要があります。
精液検査で大切なのは「数字だけ」で判断しないこと
検査結果に不安を感じた場合は、泌尿器科や生殖医療専門医などに相談し、今後の方針を確認しましょう。
男性不妊ではどんな検査をする?
精液検査で気になる結果が出た場合や、妊娠しにくい状態が続いている場合には、さらに詳しい検査を行うことがあります。
検査内容は一人ひとり異なりますが、代表的なものとして以下があります。
- 精液検査
- ホルモン検査
- 超音波検査
- 泌尿器科での診察
- 必要に応じた染色体・遺伝学的検査
すべての検査を受けるわけではなく、精液検査の結果や症状、これまでの病歴などを踏まえて必要な検査が選択されます。
ホルモン検査
精子を作るためには、脳から精巣へと伝わるホルモンの働きが重要です。
そのため、精子数が極端に少ない場合や無精子症などが疑われる場合には、血液検査によってホルモンの状態を確認することがあります。
代表的には、FSH・LH・テストステロンなどが検査対象になります。
ホルモンの状態を確認することで、精子形成に問題が起きている原因を探る手がかりになります。
超音波検査
精巣や精索周囲の状態を確認するために、超音波検査が行われることがあります。
特に精索静脈瘤など、男性不妊につながる可能性のある状態を確認する際に用いられます。
精索静脈瘤は自覚症状がない場合もあるため、精液検査に異常がある場合には医師による診察が重要です。
染色体・遺伝学的検査
精子がほとんど存在しない無精子症や、著しい乏精子症などの場合には、原因を調べるために染色体検査や遺伝学的検査が検討されることがあります。
すべての男性が対象になるわけではなく、医師が必要と判断した場合に行われます。
男性不妊の治療にはどんな方法がある?
男性不妊の治療は、原因によって大きく異なります。
「精子の数が少ないから、この治療」というように一律に決まっているわけではありません。
男性不妊の治療
- 原因に対する治療
- 生活習慣の見直し
- タイミング法
- 人工授精(AIH・IUI)
- 体外受精(IVF)
- 顕微授精(ICSI)
夫婦それぞれの年齢や検査結果、妊活期間などを考慮しながら、治療方法を選択していきます。
原因が見つかった場合の治療
ホルモン異常や精索静脈瘤など、明らかな原因が見つかった場合には、その原因に対する治療が検討されます。
例えばホルモンの問題がある場合には、ホルモン治療が選択されることがあります。
精索静脈瘤など、手術による治療が検討されるケースもあります。
どの治療が適切かは原因や重症度によって異なるため、泌尿器科や生殖医療専門医への相談が大切です。
人工授精(AIH・IUI)
人工授精では、精液から状態の良い精子を選び、子宮内へ注入します。
精子が卵子まで到達する過程を一部サポートする方法です。
軽度の精子濃度低下や運動率低下などで検討されることがあります。
体外受精・顕微授精
精子の数や運動率が大きく低下している場合などには、体外受精や顕微授精が検討されます。
特に顕微授精(ICSI)では、採取した精子の中から1個を選び、卵子へ直接注入します。
そのため、精子の数が少ないケースでも治療が可能になる場合があります。
▼ 体外受精について詳しく知りたい方へ
精子の状態は生活習慣で変わる?
男性不妊について考えるとき、治療だけでなく日々の生活習慣も大切です。
精子は精巣で作られ、成熟するまでに一定の時間が必要です。
そのため、今日から生活習慣を変えたからといって、すぐに精液検査の数値が大きく変化するとは限りません。
一方で、長期的な生活習慣を見直すことは、健康状態を整えるという意味でも重要です。
男性不妊で意識したい生活習慣
① 睡眠
睡眠不足が続くと、身体の回復やホルモンバランスにも影響する可能性があります。
まずは睡眠時間を確保し、できるだけ規則正しい生活を心がけましょう。
② 適度な運動
適度な運動は、全身の健康維持や体重管理にも役立ちます。
ウォーキングや軽い有酸素運動など、継続できる運動を取り入れることがおすすめです。
一方で、過度な運動や身体への負担が大きいトレーニングは、体調を崩さない範囲で行うことが大切です。
③ 体重管理
肥満や極端な痩せなど、体重の問題は男性の生殖機能と関連することがあります。
無理なダイエットではなく、食事と運動を含めて健康的な体重を維持することを意識しましょう。
④ 禁煙
喫煙は全身の健康だけでなく、男性の生殖機能にも悪影響を及ぼす可能性があります。
妊活中であれば、本人だけでなくパートナーも含めて禁煙を検討することが大切です。
⑤ 飲酒
過度な飲酒は健康状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
妊活中は飲酒量を見直し、適量を意識しましょう。
⑥ 高温環境を避ける
精巣は身体の外側に位置しているように、精子形成には温度環境が関係しています。
そのため、長時間の高温環境への曝露などはできるだけ避けることが望ましいとされています。
ただし、日常生活の中で必要以上に神経質になる必要はありません。
男性不妊では「頑張りすぎない」ことも大切
妊活を始めると、食事・運動・サプリメントなど、さまざまな情報が気になってしまいます。
しかし、すべてを完璧に変える必要はありません。
まずは睡眠・食事・運動など、基本的な生活習慣から少しずつ整えていきましょう。
男性不妊と年齢の関係
男性は女性のように明確な閉経があるわけではありませんが、男性の年齢も生殖機能と関係します。
年齢とともに精子の状態や精子DNAの損傷などに変化が生じる可能性があります。
ただし、年齢だけで妊娠の可能性が決まるわけではありません。
男性側の状態だけでなく、女性側の年齢や卵巣機能、夫婦の妊活期間などを含めて考える必要があります。
▼ 男性の年齢と精子について詳しく知りたい方へ
男性不妊と年齢、精子の質については別の記事で詳しく解説しています。
精液検査が正常でも妊娠しない場合は?
ここは男性不妊を考えるうえで、とても重要なポイントです。
精液検査が基準範囲内だったとしても、妊娠が成立しないことはあります。
なぜなら、精液検査ではすべての精子の機能を確認できるわけではないからです。
また、妊娠には
- 卵子の状態
- 受精
- 胚の発育
- 子宮環境
- 着床
- 夫婦それぞれの年齢
など、多くの要素が関係しています。
そのため、精液検査が正常だったからといって男性側の要因を完全に否定できるわけでもなく、反対に女性側だけに原因があると決めつけることもできません。
妊活は「男性・女性」の両方から考える
妊娠しにくい状態が続いている場合は、女性だけでなく男性側も一緒に状態を確認することが大切です。
「自分は大丈夫だろう」と考えず、一度精液検査を受けてみることも妊活の大切な一歩になります。
男性不妊を東洋医学から考える
男性不妊については、西洋医学的な検査や治療が基本となります。
一方で、東洋医学では男性の身体を「気・血・精」や全身のバランスという視点から捉えることがあります。
精子の数や運動率といった検査数値だけを見るのではなく、
- 疲れやすい
- 睡眠の質が低下している
- ストレスが強い
- 冷えを感じる
- 身体が常に緊張している
- 運動不足になっている
といった身体全体の状態にも目を向けます。
もちろん、東洋医学的な体質だけで男性不妊の原因を判断することはできません。
必要な医学的検査を受けたうえで、日々の身体の状態を整えていく。
この両方の視点を持つことが、妊活では大切です。
男性不妊と「腎」の考え方
東洋医学では、男性の生殖機能を考えるときに「腎」という概念を重視します。
ここでいう「腎」は、西洋医学でいう腎臓そのものを指しているわけではありません。
東洋医学では、生命活動や成長、発育、生殖などに関係する機能を「腎」という概念で捉えます。
そのため、
- 慢性的な疲労
- 加齢
- 体力の低下
- 睡眠不足
- 過度なストレス
などを、身体全体の状態を考える材料として見ることがあります。
東洋医学の「腎」=腎臓ではありません
東洋医学と西洋医学では、同じ言葉でも意味が異なる場合があります。
「腎が弱い=腎臓が悪い」という意味ではないため、混同しないように注意しましょう。
男性不妊とストレス・自律神経
妊活が長くなると、男性側も精神的な負担を感じることがあります。
仕事と妊活の両立、通院、検査結果、夫婦間のプレッシャーなど、知らないうちにストレスが積み重なることもあります。
ストレスが続くと、睡眠や食欲、運動習慣などにも影響し、結果として生活リズムが崩れてしまうことがあります。
そのため男性不妊を考える際にも、
精子の数値だけではなく、身体全体のコンディションを整えることが大切です。
男性不妊に対して鍼灸でできること
鍼灸は、男性不妊の原因そのものを治療するものではありません。
精索静脈瘤やホルモン異常など、医学的な治療が必要な状態については、まず医療機関で適切な診察を受けることが重要です。
そのうえで鍼灸では、
- 身体の緊張を和らげる
- リラックスしやすい状態をつくる
- 睡眠などの生活リズムを整えるサポート
- 全身のコンディションを整える
- 妊活中のストレスケアを行う
といった身体づくり・体調管理のサポートを行います。
医療と鍼灸を分けて考える
男性不妊では、まず必要な検査や治療を受けることが基本です。
鍼灸はそれに代わるものではなく、妊活中の身体と生活を整えるための補助的な選択肢として考えるとよいでしょう。
男性不妊でよくある質問
男性不妊は精子が少ないことですか?
精子の数が少ないことは男性不妊の代表的な要因の一つですが、それだけではありません。
運動率や形態、精子を作る機能、ホルモン、精索静脈瘤、射精や性機能など、さまざまな要因があります。
精液検査は一度受ければ大丈夫ですか?
精液検査の結果は体調や禁欲期間などによって変動することがあります。
そのため、一度の検査だけで判断せず、医師の判断により再検査を行うことがあります。
精子の運動率が低いと自然妊娠できませんか?
運動率が低いからといって、必ず自然妊娠できないわけではありません。
低下の程度や精子濃度、女性側の状態、年齢、妊活期間などを含めて総合的に判断します。
男性も不妊検査を受けた方がいいですか?
妊娠を希望している場合、男性側も一度精液検査を受けておくことをおすすめします。
特に妊活期間が長くなっている場合や、女性側だけの検査では原因が分からない場合には、男性側の状態を確認することが大切です。
精子の質を上げるために何をすればいいですか?
睡眠、適度な運動、体重管理、禁煙、過度な飲酒を避けることなど、基本的な生活習慣を整えることが大切です。
ただし、生活習慣を改善したから必ず精液検査の数値が改善するとは限りません。
精液検査に異常がある場合は、生活習慣だけで解決しようとせず、医療機関に相談しましょう。
男性不妊でも体外受精や顕微授精はできますか?
男性側の精子の状態によっては、人工授精や体外受精、顕微授精などの生殖補助医療が選択されることがあります。
特に顕微授精では、採取した精子を1個選び、卵子へ直接注入します。
治療方法は精子の状態や女性側の状態などを考慮して決定されます。
男性不妊で大切なのは「一人で抱えないこと」
男性不妊という言葉を聞くと、
「自分に原因があるのではないか」
と不安になる方も少なくありません。
しかし、妊娠は男性と女性の両方の身体が関係するものです。
男性側に要因が見つかったとしても、それは誰かの責任というわけではありません。
大切なのは、原因を責めることではなく、
今の状態を知って、できることを一つずつ考えることです。
まずは精液検査から
男性不妊が気になっているものの、まだ検査を受けていない場合は、まず精液検査から始めてみましょう。
検査結果を知ることで、今後の妊活について考える材料になります。
まとめ|男性不妊は男性だけの問題ではありません
男性不妊には、
- 精子の数
- 精子の運動率
- 精子の形態
- 精子を作る機能
- ホルモン
- 精索静脈瘤
- 性機能・射精機能
など、さまざまな要因が関係します。
また、精液検査だけですべての原因が分かるわけではありません。
妊娠しにくい状態が続いている場合は、男性・女性の両方が状態を確認し、必要に応じて専門医に相談することが大切です。
そして、睡眠や運動、食事、禁煙、ストレス管理など、日々の生活習慣を整えることも妊活中の身体づくりにつながります。
「自分は大丈夫」と決めつけず、男性側も一緒に検査・妊活に向き合うこと。
それが、妊娠を目指すための大切な一歩になります。
男性不妊についてさらに詳しく知りたい方へ
▼ 男性不妊・精子についての記事
男性側の身体づくりも妊活の一部です
男性不妊について考えるとき、
「精液検査の数字」だけに目を向けてしまうことがあります。
しかし妊活中は、睡眠・運動・ストレス・疲労など、日々の身体の状態も大切です。
当院では、妊活・不妊治療を行う男性に対しても、身体のコンディションや自律神経、生活習慣などを考慮した鍼灸を行っています。
西洋医学による検査・治療と併用しながら、妊活中の身体づくりをサポートします。
※鍼灸は男性不妊の検査・治療に代わるものではありません。
※無理な勧誘は一切ありません。









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