妊活

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の食事療法

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方は特に、糖質に気をつける必要があります。糖質を摂るとインスリン抵抗性上昇⇒排卵障害⇒不妊に繋がるためです。とは言え、何を食べたら良いの?と思う方も多いと察します。そこで、今回は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の食事療法みついて解説していきます。

多嚢胞性卵巣症候群について復習

先に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)について復習をしていきます。大まかに言うと、人よりも糖質の反応が良い体質です。併せてインスリン抵抗性が上がりやすい傾向であり、インスリン抵抗性が上がると、卵巣内の男性ホルモン値が高くなります。結果、排卵障害に繋がり自然妊娠が困難になります。つまり『多嚢胞性卵巣症候群≒排卵障害』となり、排卵できないことが最大の問題です。裏を返せば、食事療法で自然妊娠も可能と言うこと。人よりも糖質の反応が良いので、食事療法の中心は糖質制限になります。

そもそも糖質とは?

そもそも糖質とはなんでしょうか!?糖質は身体の中でエネルギーとして使われるものを指し、糖のくっついている数によって”多糖類・二糖類・単糖類”の3つのタイプに大別されます。糖が多い程、分解に時間が掛かるので吸収はゆっくり。逆に、糖が少ない程、吸収は早くなります。インスリン抵抗性は全て高くなりやすいですが、特に、上がりやすく気を付けるべきは”単糖類”で、『ブドウ糖』『果糖』が挙げられます。それらがたっぷり含まれているスイーツ・フルーツ・etc…甘いものには注意が必要ですね‼

同じ糖質でも”果糖”には特に気を付ける

先述した”単糖類”のうち『果糖』は大敵です!ブドウ糖はエネルギー回路で代謝されるのに代わりやすいのに対して、果糖は脂肪合成の回路を通って代謝されます。脂肪に変換されやすいので、シンプルに言うと太りやすい…。ジュース・お菓子に頻繁に使われる「ぶどう糖果糖液糖」は、それを濃縮・添加しているもの…お分かり頂けると思います。脂肪が付けばインスリン抵抗性も高くなり負のスパイラルへ。果糖には気を付けましょう。

糖質制限について

糖質制限とは、その名の通り「糖質を制限する食事」のこと。主に↓

  • 米やパン、麺などの主食類
  • 根菜類
  • 果物

など、糖質の多い食品を制限していきます。
程度によって、以下の3種類あります。

糖質制限の実践

  • ロカボ:1食あたり20〜40g。 間食は10gまで。1日の摂取量は70~130gが目標
  • プチ糖質制限:1日の糖質の摂取量は110〜140gが目標
  • 通常の糖質制限:1日の糖質の摂取量は70〜100gが目標

野菜も調味料も意外と糖質が多い

糖質を多く含む野菜は多いので気をつけましょう。特に、根菜類は比較的多く糖質が含まれています。

  • ニンジン
  • 玉ねぎ
  • かぼちゃ
  • さつまいも等々

また、以外にも調味料も多く含まれています。

  • みりん
  • めんつゆ
  • ソース類
  • ドレッシング等々

糖質の量を分かりやすく記載している記事⇒

キャリカレ:https://www.c-c-j.com/course/food/carbohydrate/column/column04/

食事療法の実践

糖質に注意を図る必要があることは周知いただけたかと思います。次に食事療法の具体策をご紹介します。様々な方法がありますが、今回は早期に実践しやすい3つをご紹介致します。

食べる順序を心がける『ミートファースト』

ミートファーストは、名前の通り肉を先に食べる方法です。食事の概念で、最初に摂った食事は、次に摂った食事の後の血糖値に影響を与えるというものがあります。例えば「大豆食品を食べた後は、血糖値をコントロールする」と、いう報告があります。その概念を基に食べる順番に気を付ける方法です。

(1)野菜→(2)肉→(3)炭水化物の順で食べる方法も良い方法です。ただ、低体重PCOSの方は、筋肉を維持する事も大切になるので、

①肉⇒②野菜⇒③炭水化物の順序の方がよりお勧めです。また、食事にかける時間も長めにとり、よく噛んで食べましょう。炭水化物は食事を開始してから15分程経ってから食べ始めるとより効果的です。

GI値の低い食事を心がける『白米⇒玄米』『パスタ⇒全粒粉』

GIは「グリセミックインデックス」の略です。血中インスリン値が急激に上がりやすいものを高GI、穏やかなものを低GIと認識して頂けたらと思います。高GIの食品を摂るとインスリン抵抗性が高くなり、排卵障害に繋がりやいので注意が必要です。ミートファーストと併せて、できるだけ低GI食を心掛けましょう。お米を例に挙げると、白米よりも玄米の方がGI値が低く、精製されたもの(白色)よりも、精製する前のもの(茶系の濃い色)の方が低GIの傾向にあります。また、形によっても変化しやすく、もち米は高GIですが、おもちは低GIに分類されます。消化が早いものは高GI傾向にあると覚えて頂けると良いかと思います。ポイントは『濃い色』『腹持ち』です。

大塚製薬 血糖値とGIの関係性⇒
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/glycemic-index/glucose-level/

繊維の多い食事を心がける『水溶性食物繊維』

これは「ミートファースト」の応用になります。最初に食べたものが、次に食べたものの血糖値に影響を与えるという考えから、繊維の多い食品を食べると、血糖値の上昇が穏やかになり、インスリン抵抗性に効果的です。繊維は大きく分けて『不溶性食物繊維』『水溶性食物繊維』の2つがあり、PCOSの方には特に『水溶性食物繊維』が有効です。オクラ・わかめ・大麦などに多く含まれていてネバネバ・サラサラとした特徴があります。難消化性デキストリン・大麦βグルカンなどが代表例です。また、整腸作用もあるので女性に嬉しい効果も期待できます。

まとめ

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方は食生活の見直しが大切であることをご理解頂けたと思います。甘い誘惑に負けず、積極的に繊維を摂りましょう。ただ、その中にも糖質を多く含む食材は多くあります。必要なのは、知識です。食べて良いもの・良くないものの判別。食べたいときは、食べ方を理解して食事をしましょう。そして、糖質制限の数値はあくまで目安です。無理のない範囲から始め、徐々に目標値へ近づけていけると良いでしょう。(スタッフ:鈴木大)

併せて読みたい⇒
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と鍼灸治療
・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の運動療法

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